Japanische Klassiker mit Furigana
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くもとこもりうた
雲と子守歌
小川 未明
Lesen Sie 雲と子守歌 (くもとこもりうた) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.823 Zeichen · 10 Bildschirme
「坊やは、いい子だ、ねんねしな、
泣かんで、いい子だ、ねんねしな。」
子供は、母の胸にしっかり顔をおしつけ、耳をすましていました。耳というよりか、心をすましていました。そうする間だけ、痛みを忘れたのです。さいなまれる魂が、やわらかな、温かい愛のしらべに救われて、暗い中、風の吹く、はてしない広野をさまよい、林の方へ、知らない町の方へ、また、高い、高い、空の上へと、苦しみのない、安らかな場所を探しにいくのでした。そこには、おばけや、悪魔などの、けっしてわからない、ただお母さんと自分だけが知っている、いいところだと子供は信じているのでした。
また、母親は、声に真心が通じて、子供の苦痛がやわらげられるものなら、どんなにでもして、うたってやろうと思いました。そして、安らかにすることによって、奇跡的に、病気がなおるよう、神に念じたのであります。
しかし、いかにやさしい、信仰深いお母さんでも、疲れれば、しぜんと眠気を催し、眠ることによって、気力を回復する、若い、健康な肉体の持ち主たることに変わりはありません。幾日、幾夜の看病の疲れが出て、いくら我慢をしても、しきれずに、歌の声は、だんだんかすれて、とぎれたのでした。