Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんさいにっし

震災日誌

喜田 貞吉

Lesen Sie 震災日誌 (しんさいにっし) von 喜田 貞吉 (きたさだきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.617 Zeichen · 40 Bildschirme

Aozora Bunko

●夜中の情況視察

天気模様は悪しくなって来た。火事のあとにはきっと雨が降ると誰かがいう。

富士見坂を上ってみると、大塚仲町停留場の附近の板塀に、早くも新聞社の掲示が張り出されている。丸の内の内外ビルディングが潰れて男女二百余人下敷になったとか、博文館の印刷工場が倒れて職工七十余人が死んだとか、警視庁や帝劇が丸焼けになったとか、横浜方面は一層の惨劇だとか、恐ろしいことの限りが報道されている。電車道には、停電で乗り捨てられた電車が幾台も止まっていて、時にとっての恰好の避難所となり、どれもこれも満員だ。電車道は一面に両側の住民で埋められている。中には荷物を持ち出したり、炊事道具まで持ち出している人がある。

●夜中の情況視察

出入の大工が来てくれた。ともかく母屋と土蔵と書斎との屋根だけは、ある限りの敷物をはがしたり、古茣蓙を集めたりして、応急の雨漏りだけは防ぐの準備が出来た。これでまず一安心だ。情況視察かたがた懇意な人々の見舞にと軽装して出かけた。まず第一に留守宅を焼かれた小林君はどうなったろうと、桜木町へ行ってみる。火事は仕合せに消し止められて、せいぜい三十戸ばかりを焼いたに過ぎなかった。