Japanische Klassiker mit Furigana
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しんさいにっし
震災日誌
喜田 貞吉
Lesen Sie 震災日誌 (しんさいにっし) von 喜田 貞吉 (きたさだきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.617 Zeichen · 40 Bildschirme
●食糧の心配
「そんなものは泥坊して来ても附けることが出来る。この場合それが何になる」
売言葉に買言葉でだんだん形勢が嶮悪になる。後の方から「生意気だ、やっつけてしまえ」の声がかかる。ヤット仲裁して無事に済んだが、一時はどうなることかとヒヤヒヤさせられた。しかもこれは一例たるに過ぎぬ。
●食糧の心配
昨日はあまりの変災にのみ気を奪われ、夜遅くまでも情況の視察や友人の見舞にのみ奔走して、ついそこまでは気が付かなかったが、少し落ち付いて始めて心配になったのは食糧の問題だ。交通機関のすべてが杜絶した今日、それがいつ開通するともわからぬ今日、東京市民はたちまち兵糧攻めに逢いはせぬであろうか。差当り自宅はどうであろうと調べると、白米がわずか三升ばかりあるだけだ。さっそく米屋へ買いに行ってみると、自宅用三日分を残したのみで、昨夜玄米までも全部警察へ徴発されたという。なるほど西青柳町の小学校は避難所となって、すでに罹災者が収容されているのである。護国寺の境内にも多数の避難者が群集しているのである。このあたりの米屋に余裕の米のありそうなはずはない。三男を自転車で遠方の米屋へ走らして、やっと白米を二升ばかり、麦を三升ばかり手に入れることが出来た。