Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あおいひも

青い紐

田中 貢太郎

Lesen Sie 青い紐 (あおいひも) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.592 Zeichen · 11 Bildschirme

Aozora Bunko

あがり口の右側に二階の梯子段が薄すらと見えていた。哲郎は女に押あげられるようにされてあがって往った。

上には蒼白い燈の点いた六畳の室があった。室の中には瀬戸物の火鉢があって、それを中に二枚の蒲団が敷いてあった。むこうの左隅には小さな机があって、その上に秋海棠のような微紅い草花の咲いた鉢を乗せてあるのが見えた。

「穢い処よ」

女は後の障子を締めて入って来た。哲郎は立ってインバのボタンをはずしていた。

「お坐りなさいましよ」

女は襟巻を机の上へ乗せて、その方を背にして一方の蒲団の上に坐った。哲郎もインバを脚下へ置いてから、女と向きあうようにその青い地に何か魚の絵を置いたメリンスの蒲団の上に坐った。

二人の手と手は火鉢の上で絡みあった。

哲郎は女の顔を見るのがまぶしかった。

「どうです」

哲郎は笑った。彼はそれ以外に云う詞がなかった。

女も笑っていた。女の眼は絡みあっている哲郎の手端へ来た。

「暖いわ、ね」

「会があって今まで飲んでいたから、暖かいでしょう」

「お酒をおあがりになって」

「すこし飲むのです」

「じゃ、お酒をあげましょうか」

「ありますか」

哲郎は形式だけでも酒があると話がしよいと思った。