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Japanische Klassiker mit Furigana

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あおべかものがたり

青べか物語

山本 周五郎

Lesen Sie 青べか物語 (あおべかものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.888 Zeichen · 317 Bildschirme

Aozora Bunko

「鯨はときどきあがったらしいよ」と鉄さんは穏やかに云った、「旦那の話のほうが本当かもしれねえ」

これが船宿「千本」の流儀なのだ。和助の時代から、客に対してえらぶった口は決してきかない。他の船宿だと、客に対して釣りの講釈をしたり、いいの悪いのと文句を云う。「千本」では腕っこきの船頭を揃えていながら、求められない限り、決して客に教えたり、客の意志に反対するようなことはない。――客は遊びに来るのだ、好きなように遊んでもらうことが第一だ、というのが亡くなった和助の流儀であった。あたま、しっぽの伝説は、あるいは彼のほうが真実だかもしれない。私はよそ者であるし、鉄さんはこの土地の人間なのだから。しかも彼は一言もそんなことは口にしなかったのである。

話はあちらへとびこちらへとびした。きょうだいの死んだ父は和助といい、浦粕の船宿では誰よりもしょうばいがうまく、上客はみな「千本」に集まったし、船頭も腕のいいのが揃っていたこと、朝日紙へ週一回ずつ釣通信を書いていたこと、鯉釣りの名人で、いつも蒸気河岸の上で鯉を釣り、不漁で帰る客があると、その鯉を持たせてやったこと。長の姉の一人は浦粕小町といわれる美人だったが、若くて死んだし、長の妹も死んだこと。