Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしゅんのいきのあと
青春の息の痕
倉田 百三
Lesen Sie 青春の息の痕 (せいしゅんのいきのあと) von 倉田 百三 (くらたひゃくぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.338 Zeichen · 254 Bildschirme
私は深い淵のように湛えた海にのぞんだ、西洋風の部屋を約束しました。この部屋から見ると静かな湾は湖のように思われます。向こうの方に眠るがごとく薄々と横たわった山脈の空は、透き通るように青くて、遠いかなしい景色です。
私はひとりも話す友がない。たいてい書物を読んだり、手紙を書いたり、ひとりで浜に歩きに行ったりして暮らしています。長らくこうして暮らしてると、実に淋しいものですね。二、三日すれば姉が、船に乗って私を見舞いに来てくれます。それを楽しみにしています。あなたはどうして暮らしていますか。私のからだはおいおい快いばかりですから安心して下さい。私はここに当分います。私は部屋の壁に、行李に入れて持って来たキリストの額を掲げました。そして淡青い窓掛の下で中世の宗教的なクラシックを好んで読んでいます。正夫君によろしくいって下さい。学校にはかわりありませんか。
私の宿の近所は色街で、怪しげな灯影に田舎女郎がちらちらしています。衰えた漁村の行燈に三味線の音などこおりつくようにさむざむと聞こえます。近状知らせて下さい。
(久保謙氏宛 一月二十三日。鞆より)
「恋を失うたものの歩む道」