Japanische Klassiker mit Furigana
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かばんらしくないかばん
鞄らしくない鞄
海野 十三
Lesen Sie 鞄らしくない鞄 (かばんらしくないかばん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.653 Zeichen · 73 Bildschirme
「さあ、これでいい訳だ。おい臼井、その鞄を閉じてくれ」
目賀野の命令どおり、臼井は鞄の蓋をばたんと閉めた。
目賀野の顔は、いよいよ緊張に赭味を増した。彼の目は鞄に釘づけになっている。
が、そのうち彼の目は疑惑に曇りを帯びて来た。
「どうもおかしい。鞄はおとなしい。おかしいなあ。……ああ、そうか。臼井。その鞄に鍵をかけてみろ」
臼井は命ぜられるとおりに、鞄の錠に鍵を入れて、錠を下ろした。
鞄は卓上に於て、再び熱烈な目賀野の視線を浴びることとなった。
四五分経つと、目賀野の顔がすこし蒼ざめた。彼は鞄の傍へ寄ると、いきなり鞄を持上げ、力いっぱい振った。
それがすむと、彼は鞄をもう一度、そっと卓子の上へ置いた。それから、じっと鞄を注視した。
彼は小首をかしげた。
もう一度鞄を抱きあげると、上下左右へ激しく振った。それがすむと、卓子の上へ戻した。但しこんどは鞄を横に寝かせて置いた。
彼は腕組をして、鞄を睨据えた。
一分二分三分……彼の顔は硬ばった。と、彼はその鞄を手にとるが早いか、どすんと臼井の足許へ投げつけた。
「な、なにをなさるんです」
臼井の顔も蒼くなった。