Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.832 Zeichen · 24 Bildschirme
……それでは、すこしおはしゃぎなさい。……ああ愉快、愉快」
と、騒ぎ立てる。
庄兵衛のほうはすこしも可笑しくない。いよいよ苦り切って、
「ふん、そんなこと位ではしゃげるか、貴様でもあるまいし」
そっぽを向いて、またしても、そっと溜息をつく。
顎十郎は、花世から一件の話をきくと、眼をつぶって、叔父の居間の模様をぐるりと頭の中で一回転させただけで、この紛失事件の綾がすっかりわかってしまった。こんなにたわいのないことを洞察ないで、よく今日まで吟味方がつとまったものだ。日頃の強情にも似ず、すっかり弱り切っている叔父のようすを見ると、気の毒でもあり可笑しくもある。
錠口でガランガランと鈴の音がする。
庄兵衛は急に生き返ったような顔つきになって縁側へ上ると、わざとノソノソと廊下のほうへ歩いて行く。
「なんだ」
小間使の声がこんなことを言っている。
「淡路町からの使いで、例のものが、笠森近くのさる下屋敷へ入ったことを突止めましたから、御足労ながら至急こちらまでお出かけ下さい。笠森稲荷の水茶屋でお待ち申すという口上でございます」
庄兵衛は、急に元気いっぱいになって、
「使いの者に、すぐまいると申しておけ。