Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.621 Zeichen · 25 Bildschirme
手紙を石につつんで投げこめるところといったら、まず人足寄場のほかはない。言うに落ちず語るに落ちるとは、この辺のところを言うのでしょう」
お静がしおしおと帰って行って、すこしたってからひょろ松がもどって来た。顎十郎はすわるのも待たずに、
「ひょろ松、十五日の朝、島おくりの囚人は二カ所の川岸から艀舟に乗ったろうな」
ひょろ松は眼をむいて、
「阿古十郎さん、あなた、どうしてそれを」
「どうしてもこうしてもありはしない。そうででもなければ、この件はどうしてもウマがあわないからだ」
「伝馬町の送り同心は蠣店でわたしたといい、御船手役人のほうは永代橋でうけとったとこういうンです。……渡したほうとも受けとったほうとも嘘はないンだから、すると、どちらかが偽の囚人で、どちらかが偽の船手役人でなけりゃアならないということになる」
「まあ、その辺のところだ」
顎十郎は、例によってぼんやりとした顔つきで、
「これでなにもかにもわかったから、この事件のアヤをほぐして見ようか。……おれが最初、三崎丸の話を聴いたとき、二十三人もの人間が海の上で雲散霧消するなんてことはあるべきいわれがないと思った。