Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.984 Zeichen · 28 Bildschirme
火の手があがって火消や弥次馬が来てからじゃ、ひと目があってこんな芸当は出来ねえはず」
と言いながら、すぐ鼻っさきの南がわに聳え立っている『大清』の三階のほうを顎でしゃくりながら、
「おい、あそこを見ろ。三階の座敷の窓が張出しになっている。あのへんからだとやれそうだな」
十吉は、頭をそらして目測りをしていたが、
「なるほど、やってやれないこともありますまいが、すこし間尺がちがいますね。なんといったって死んだ人間の身体はひどく重量のあるものだから、どうはずみをつけて放りだしたって、こんなところまで飛ばせるわけがねえ。もっと塀ぎわへ落ちるでしょう」
ひょろ松は、ニヤリと笑って、
「三階の櫓下に非常梯子が吊ってあるだろう。あれが、手品のからくりだ」
十吉は、膝をうって、
「考えやがった。……すると、つまり、梯子のはしへ死骸をのせて……」
「こっちへヒョイと突きだせば、否でも応でも死骸がひとりでにこのへんまで辷り出してくる。だいたいそのへんのところだろう」
十吉はうなずいていたが、急に怪訝そうな顔つきになって、
「たしかにそれにはちがいない。それはよくわかりましたが、それにしても、なんのためにそんな手間のかかることをやったンでしょう。