Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.904 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

とふれて行きましたが、それがまた、しんととろりとするようないい声でござンしたが、気のせいかそれが気にかかって。……ああ、そう言えば、家のお嬢さんが見えなくなる前に、やはり鮨売が来たようでございました。……なるほど、そう言われてみると、家のお嬢さまのほうも。……ということになった。

アコ長の顎十郎は、見ぬいたようにニヤリと笑って、

「それで、小鰭の鮨売をしょっ引いたか」

ひょろ松は、髷節へ手をやって、

「へへへ、……じつは、その通りなんで。数にして四十人ばかり。これで、江戸の小鰭の鮨売はひとり残らずなんで」

顎十郎は、ひっくり返って笑い出し、

「なるほど、こいつアいいや。ひょろ松、それは大出来だった。さすがは、おれの弟子だけのことはある。師匠は鼻が高い。ねえ、とど助さん、じっさい、たいしたもんですな」

「小鰭の鮨売を四十人……伝馬町の牢屋敷で鮨屋でもはじめますか」

ひょろ松は、すっかり照れてしまって、

「とど助さん、あなたまで冷やかしちゃいけません。正直なところ、その件であっしは二進も三進も行かなくなっているンです。念入りにひとりずつ叩いて見ましたが、いっこうどうということもない。