Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.527 Zeichen · 23 Bildschirme
店は一番番頭の鶴吉に姉娘をめあわせてそれに譲ることになっていた。その折は弟と二人に暖簾を分けて貰えるはずだったが、こんなことでそのあてもなくなった。……一方、主人の嘉兵衛には身寄というものはないのだから、姉娘と鶴吉を亡いものにすれば、だまっていても、堺屋の身代は当然忠助のものになる。……どうです、これでおわかりになりましたろう」
顎十郎は顎をひねりひねり、うっそりと聞き入っていたが、急に無遠慮な声で笑い出し、
「叔父上、それから、ひょろ松も……、二人の口真似をするわけじゃねえが、なるほど、こりゃあ、すこしけぶですぜ」
庄兵衛は、たちまちいきり立って、
「なにが、どう、けぶなのだ」
「だって、そうじゃありませんか。それほどの悪企みをやってのける人間が、だれに言わせたって、かならず自分に疑いがかかるような、そんなとんまな真似をするはずがねえ。弟のひとりぐらいはちゃんと道連れにつけてやっているはずです。……それじゃ、まるで、手前がやりましたとふれて歩いているようなもんだ。こりゃあ、すこし、ひどすぎる」
「だから、それ、うまく虎列剌と胡麻化せると思って、大きに多寡をくくってやった仕事なのだわ」