Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.674 Zeichen · 36 Bildschirme
韋駄天
手拭いを肩にかけ、寅吉とつれだって有馬の湯を出る。無駄ッ話をしながら本郷三丁目を左へ曲って加賀さまの赤門。
役割部屋へ入って行くと、みな懐しがって、寝ころんでいたやつまで、はね起きて来て、右左から、先生、先生、と取りつく。
顎十郎はあがり框に近いところへあぐらをかいて陸尺がくんでだす茶をのんびりと啜りながら、ぐるりとまわりを取りまいているつまらぬ顔を見まわし、
「こんどは、なにか、妙な騒ぎがあったそうだの」
部屋頭が、割膝でそそり出てきて、
「いや、どうも、馬鹿な騒ぎで……。為と寅のおかげであっしら一同えらいお叱りで。……これがほんとうのそば杖……。いってえ、こいつらは間ぬけなんで、駕籠に押しあてられたぐれえでひっくり返るなんてえのはざまのねえ話。……恥ずかしくてなりません」
「まあ、そう言ったものでもない。……ものには、はずみというものがある。畳の上でころんでも、間が悪けりゃ、足をくじく。……いま、有馬の湯できいたばかりなんだが、氷を盗んだとか盗まないとかいう浪人者は、じつは、おなじ割長屋にすんでいる男での……」
……家には、ことし十歳になる伜が時疫で熱をだして寝たっきりになっていることから、青地が氷をもらいそこねて逆上し、つまらないことを口走ったてんまつを話してきかせると、部屋じゅうは、急に