Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.248 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

あッと、千賀春さんの身体を突きはなしましたが、柳橋では誰ひとり知らないものもござんせん、わちきと千賀春さんのいきさつ。……こんなところを見られたら、どう言いはってもあちきが殺したと思われましょう。……そう思うと、急に恐ろしくなりまして、死んだ気になって千賀春さんを抱きおこし、さっきの通りに火鉢にもたれさせ、宙にでも浮くような気持でここから走り出したんでござんすが、家へ帰って見ますと、比翼の紋を打った平打の銀簪がござんせん。……そう言えば、千賀春さんを抱きおこすひょうしに、キラリと火鉢の中へ落ちこんだような気もいたします、それで……」

顎十郎は手を拍って、

「いや、そのへんで結構……あとはこちらに判っている」

藤波は壁ぎわにすわって、冷然たる顔つきで小竜の話を聞きながしていたが、小鼻をふるわせてふんとせせら笑い、

「判ってるとは、いったいどう判っている」

「これはしたり……これでもまだおわかりになりませんか。……これは少々意外ですな、小竜が開陳したのはなるほどただの話だが、たったひとつ、動きのとれない証拠がある」

「ほほう、それはいったい、どういうことです」