Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.327 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

三平と引っくみになって、大恐悦のていで間をおかず茶碗のやりとりをしている。

ひょろ松は気にして、

「聞いているんですか」

顎十郎はびをしながら、

「聞いている、聞いている。……ひッ」

「……役人のはうは、濡れねずみになって船へはいあがり、ぶつぶつ言いながら船頭を急がせて川なかへ押しだそうとしたが、いまも申したように、ギッシリ荷足と組みあってしまって思うようにならない。……あっちの荷足をしかりつけ、こっちの肥船をおどかして、ようやく川なかへ漕ぎだしたんですが、このごたくさのあいだに衝きあたった石船のほうは、いちはやく逃げてしまって影もかたちもない。……念のために金箱のかずを読んで見ると、相違なくそっくりある。……濡れねずみになったほうは災難とあきらめて、ようやく神田橋ぎわまで辿りつき、受けわたしをすませて二十万両の金は無事に勘定屋敷のお金蔵へおさまった……」

「ひッ……な、なあるほど……ひッ」

「……ご承知の通り、勘定所へは毎朝、五ツに奉行がひとり出所しておおよその庶務をとり、九ツにお城へあがるのが毎日のきまりなんですが、その日も例の通り、朝早くお当番がひとり出て、きのう金座から届いた二十万両のうち小口の千両箱を二つ三つ持ちださせて、お役儀までに改めて見ると、小判どころか錆釘や石ころがギッシリとつまっている。