Japanische Klassiker mit Furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lesen Sie 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.028 Zeichen · 28 Bildschirme
役所の格づけがきまろうという大切な瀬戸ぎわだから、あなたにチョコチョコ這いだされると、手前のほうは大きに迷惑をする。すみませんが、明日の朝までここへころがしておきますから、どうか、そう思ってください」
藤波は、もう観念したか返事もしない。
顎十郎は、依然としてのどかな声で、
「しかしね、藤波さん。私もあまり野暮なことはしたくない。この手紙だけは池田甲斐守にとどけてあげてもいいのですが……」
「………」
「私も男だから、つまらぬ嘘はつきません、どうします」
「………」
「それとも、破いてしまいましょうか」
「………」
「お返事がないところを見ると、破ってもいいのですな」
藤波は痩せほそったような声で、
「とどけて、ください。子刻ごろ、下ッ引が部屋の窓下へ来ますから、どうかそれに、……渡してやって……」
藤波の眼じりから頬のほうへ、ツウとくやし涙がつたわった。
切腹
百叩きにこそされなかったが、さんざん中間どものなぶりものにされて、門をつきだされたのが朝の六ツ半。
煮えくりかえるような胸をおさえて、空脛を風に吹かせながら、三年町の通りを歩いて行くと、横丁から小走りに走りだして来た、せんぶりの千太。