Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

かぜにのってくるコロポックル

風に乗って来るコロポックル

宮本 百合子

Lesen Sie 風に乗って来るコロポックル (かぜにのってくるコロポックル) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.458 Zeichen · 39 Bildschirme

Aozora Bunko

いつ戻って来るか? それは解らない。それだから、彼は絶えず、待ち、望んでいたのである。

T港で、豊の姿を見掛けたという噂だけを聞いて、イレンカトムの小屋は、雪に降り埋められる時候となった。

平常でさえ余り楽でない路を、雪に閉されてはどうすることも出来ない。

全く人間界から隔離されてしまった彼は、二十日に一度、一月に一度と、味噌や塩の買出しに降りるときだけ、僅かに人間の声を聞いて来るのである。

その一冬は、彼にとって、どんなに淋しいものであったろう。

ほんとうの独りぽっちで、気の紛れがないから、考えは始終同じ問題にこびり付いていなければならない。

考えれば、考えるほど、心はさか落しに滅入って来て、どうにもこうにもならなくなる。そこで、仕方がないから、ちょっとばかりの酒でも飲んで炉辺でごろ寝をするような癖の付いたイレンカトムは、従って人の眠る夜になると、否でも応でも眼を覚していなければならなく成ってしまった。

窓の隙間から蒼白くホーッと差し込む雪明りに照らされる陰気な小屋のうちで、彼は死んだような厳めしい静寂と、次第に募って来る身の置処のない苦しさに圧迫され、強迫されて、頭はだんだんと理由の解らない興奮状態に陥って来る。