Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かぜ

風

壺井 栄

Lesen Sie 風 (かぜ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.702 Zeichen · 78 Bildschirme

Aozora Bunko

」

とはいってみても、まともに働いて暮すことより知らぬ茂緒にとっては、目の前の今日を、どうしてしのぐかさえ見当がつかなかった。そこへゆくと、修造の方はてきぱきとことをはこぶ知恵が、つぎつぎと浮かんできた。

「茂ちゃんの着物、ちょっとの間かりようかな。」

それを着るとでもいうのかと思って、ぽかんとしていると、

「質に入れるんだよ。」

茂緒は不明を恥じながら、バスケットから着物を出し、腕時計もはずして添えると、修造は気軽にそれをもって出かけようとする。

「大家さんの質屋にいくんですか。」

「ああ。知らない質屋は、だめなんだよ。」

「でもいやですわ。しょっぱなから……」

「仕方がないさ。ちゃんと暮すためには食わずにいるわけに、ゆくまい。」

出かけたあと、がらんとした部屋の中で、茂緒は畳にしがみつくようにして泣いた。父や母や、妹たちのことが、甘やかな悔の中で思いだされ、涙はとめどがなかった。だが、修造が帰るころをみて、おさめてしまった。しかし、はれたまぶたは、かくしようがなかった。やがて修造は十円になったとホクホク顔で帰ってき、茂緒の顔には気づかないふりで、彼女にそれを渡しながらさそった。