Japanische Klassiker mit Furigana
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しょくま
食魔
岡本 かの子
Lesen Sie 食魔 (しょくま) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.911 Zeichen · 74 Bildschirme
すなわち鱠には大根を卸しにし、煮物には大根を輪切にしたものを鰹節で煮てこれに宛てた。焼物皿には大根を小魚の形に刻んで載せてあった。鍋は汁の代りになる。
かくて一汁三菜の献立は彼に於て完うしたつもりである。
彼には何か意固地なものがあった。富贍な食品にぶつかったときはひと種で満足するが、貧寒な品にぶつかったときは形式美を欲した。彼は明治初期に文明開化の評論家であり、後に九代目団十郎のための劇作家となった桜痴居士福地源一郎の生活態度を聞知っていた。この旗本出で江戸っ子の作者は、極貧の中に在って客に食事を供するときには家の粗末な惣菜のものにしろ、これを必ず一汁三菜の膳組の様式に盛り整えた。従って焼物には塩鮭の切身なぞもしばしば使われたという。
彼は料理に関係する実話や逸話を、諸方の料理人に、例の高飛車な教え方をする間に、聞出して、いくつとなく耳学問に貯える。何かという場合にはその知識に加担を頼んで工夫し出した。彼は独創よりもどっちかというと記憶のよい人間だった。
彼は形式通り膳組されている膳を眺めながら、ビールの合の手に鍋の大根のちりを喰べ進んで行った。