Japanische Klassiker mit Furigana
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きがちたいをあるく
飢餓地帯を歩く
下村 千秋
Lesen Sie 飢餓地帯を歩く (きがちたいをあるく) von 下村 千秋 (しもむらちあき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.478 Zeichen · 31 Bildschirme
ほんとの話かどうか、何んでも満洲の兵隊は、一人について、歯ブラシが二十本も渡ったり、キャラメルが十ずつも配られたりするちゅうが、こちらの国の家では、六銭の金にも不自由している始末ですからな」
これに似た哀話が、中郡和徳村のある出征軍人の家族にもあった。それは、その軍人の妹が病死したが、葬式を出す金がまるで無いばかりか、それを満洲の兄へ知らせる手紙を送ることも出来なかった。満洲の兄は、このことを、ある新聞の記事に依って知り、一人声を忍ばせて泣いていた。それが、隊長の目に止り、二十円の葬式費を隊の名で送り届けて来たので、やっと葬式を済すことが出来たというのであった。
めし時になると、主人はまたこう言った。「まだこれでも、もみ殻を取ったくだけ米ですから、どうやら咽喉が通るが、そのうちに、くだけ米も無くなるので、こんどは、もみ殻の着いたままを、かぼちゃやじゃが芋に混ぜて食べるのです。これは平年には、馬が喰うものだが、今年は、わし達が馬になるです」
ところで、このような食物で、幾月となく生きつないで行くうちに、栄養不良から、先ず子供の健康が害されることは明らかであった。