Japanische Klassiker mit Furigana
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きがちたいをあるく
飢餓地帯を歩く
下村 千秋
Lesen Sie 飢餓地帯を歩く (きがちたいをあるく) von 下村 千秋 (しもむらちあき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.478 Zeichen · 31 Bildschirme
多くは、三人か四人の女を置き、それが、入口の小座敷の中にいて、前をうろつく男達を呼び込んでいた。いけすかないが、えけしかないと発音するので、場所が場所だけ、ちょっとおかしかった。
ところで、彼女の家はすぐ解った。入口に四人の女が立っていた。私は、彼女の本名を言って、その中から彼女を見出すと、すぐ二階へ上った。部屋は、日本中のどの私娼窟の部屋にも共通した恐ろしく荒れすさんだ部屋であった。彼女は、はじめ、私をひどく警戒したが、私が彼女の母親に会ったことを話すと、それから急に打ち解けた。
しかし、百姓村にのみ育った女だけ、その容子は――紅や白粉をこてこてと塗りつけているだけ、むしろ滑稽なほど奇怪な感じであった。
「いつ、ここへ来たの?」「もう十日ばかりになる」
「いつから店へ出ているの?」「三日前から」
そんな会話から、彼女は、彼女の母親も話さなかったことを話し出した。それは彼女の父親に関することであった。
彼女の父親は、村と、青森市とを往復して相当手広い商売をしていた。雑貨の卸し商であった。が、年々の不景気で、にっちもさっちも動きがつかなくなっている所へ、今年の凶作と、つづいて、銀行の支払停止とに出会った。