Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
鬼の面 ――銭形平次傑作選3
野村 胡堂
Lesen Sie 鬼の面 ――銭形平次傑作選3 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.312 Zeichen · 57 Bildschirme
「それは?」
「二本の白丁に出して置いて、一本無くなると次のを呑み、二本空っぽになると、また樽から出して置きます」
「すると、一本の徳利には毒は無かったのか」
「左様でございます、昨夜まで呑んだ方の白丁は無事で、今夜出した白丁の酒に毒があったわけで」
説明は友三郎の言葉で充分でした。重なる不幸に、滅入り込んだ中を、主人の部屋に通されると、そこには続けざまに両親を喪った娘のお小夜が、父親の義弟の金之助に慰められながら、物も言えないほど泣き濡れております。
平次もこれでは手のつけようがありません。二つ三つの慰めの言葉を残して、金之助を誘って縁側に出ました。
「金之助さん、気の付いたことはないかな」
「何んにも」
金之助は頑固らしく首を振るのです。
「あんまりやる事が根強いので、身内の者は反って見当はつかないのかも知れない、――この先長崎屋の身上はどうなるだろう」
「兄が死ねば、半分は娘のお小夜のものになります」
「若しだよ、――万々一お小夜がどうかすると?」
「そんなことは考えても見ませんよ」
金之助は向っ腹を立てたらしく、頑固に首を振るのです。
「こんどは昔の長崎の仲間が、外から仇をしたとも思えないが」