Japanische Klassiker mit Furigana
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まぞう
魔像
林 不忘
Lesen Sie 魔像 (まぞう) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 131.494 Zeichen · 260 Bildschirme
園絵さまのおためにも、また喬さまのおためにも――。
けれど、そうすると、この自分、妙というものは、どうなるのでございましょうか。
……お妙は、喬之助に会って以来、日に何度となく自分に向ってその問いを発して来たのだが、心のどこを叩いても、この答えは見つからなかった。
妻のある喬之助、それはわかっている。その妻を愛し、恋している喬之助、それもわかっている。
それならば、それだけわかっているならば、スッパリと思い諦めてしまえばよさそうなものだが、それがそうはいかないというのが、この世の中に、恋という厄介なことばが存在する所以ではなかろうか。
何事も理窟通りに、二に二を加えて四、八を二分して四ときまっていれば、誠に世話の要らない人生で、その代り小説家は上ったり――ナニ、小説家なんかどうなったって構わないが、殺風景きわまる世の中になるであろう。
お妙は、立ちどまった。艶な町娘の風俗に、いつかの筆幸の棟上げに出した祝儀の手拭を吹き流しにくわえたお妙だ。歩くでもなく、進むでもなく、何ものかに引かれるように、何ものかに押されるように、毎夜のように、ここまで来てしまったのだ。