Japanische Klassiker mit Furigana
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まぞう
魔像
林 不忘
Lesen Sie 魔像 (まぞう) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 131.494 Zeichen · 260 Bildschirme
造酒はここで大声を揚げた。「こうするがどうだ?」
こうする……どうするのかと思うと、やにわに大刀銀百足の鞘を払った造酒だ。お妙の胸ぐら取ってそこに引き据えると同時に、紙のように白い咽喉首に切尖を擬した。
「来るか。来ると、一突きだぞ……」
が、その時、長庵とお六に教えられた三羽烏他一同が、ドドドドッ! と跫音荒く踏み込んで来たので、あるいは敵か?――と、造酒、ちょっとそっちへ注意が走った。いや、注意が行ったというまでのことはなくても、つとその人々の動きが造酒の意識に入って来た。と思うと、魚心堂が、ぱアッ! 投網を下ろすように全身を躍らして竿をしごいたのだ。糸が……蜘蛛の巣のような釣り糸が、粘って、光って、虹の如くに飛んだ。絡んだのである。造酒の刀身に渦をまいて纏わりついたのだ。
しかし、糸は糸、造酒が刀を引くが早いか、フッツリ切れたが、こういう些細な邪魔でも、馬の眼を羽毛が掠めたようなもので、気合である。弾みである。微妙な刀機を尊ぶこの場合、魚心堂はこの動きで、立派に先を制することが出来たのだろう。造酒が、刀を横に流して、魚心堂のかけた糸を切り放していた時、魚心堂はすでに、お妙を小腋に抱きかかえて、雨戸を蹴破って、その板戸とともにでんどう返し、見事に庭に降り立っていた。