Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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まと

魔都

久生 十蘭

Lesen Sie 魔都 (まと) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 293.999 Zeichen · 578 Bildschirme

Aozora Bunko

「おやおやまたお調べですか、助からないねえ」

なんて吐かす。真名古は上り端へ腰をおろすと湿った調子で、

「お馬というのはお前か」

と訊問を始める。お馬はそっぽを向いたまま、

「はい、さいです」

「ここでどんな役をしているね」

「まア、こうして玄関におりますのと、それから皆さんのこまごました用事も致します。はい、それだけでございす」

「昨夜王様が来られた時、だれか連れのあるような模様はなかったか」

「おや、王様ってだれのことでしょう。本名なら判りますが」

「日本名を宗方竜太郎といっていられる方だ」

「宗方さんならば昨夜はおいでになりませんでした。そりゃもうたしかなんでございす」

「間違いはないね」

「ええもう」

真名古は依然として瞼を垂れたまま、

「なかなか口が固いな。感心だ。誰が訊ねてもそういう風にいうがいい。……それで、あの玄関の扉はどういう風にして開けるのか」

「それを聞いて何になさるんです」

「訊いた事に返事をしろ」

お馬は面を膨らして、

「御銘々が合鍵で開ける事になっています」

「閉める時は」

「押すとひとりでに閉まるようになっております」

「出入口はあれだけなのか」

「御用聞が上り下りする裏梯子がありますが、出入はみなあそこから致します。