Japanische Klassiker mit Furigana
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まと
魔都
久生 十蘭
Lesen Sie 魔都 (まと) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 293.999 Zeichen · 578 Bildschirme
「さア、……去年の春ぐらいからよ」
「面白いかね」
「趣味ッてわけでもないわね。どういったらいいかしら」
真名古は机の上に肘をついて掌で頤を支えながら、のんびりした調子で、
「おい、君たちの生活はすこし放縦しなさ過ぎると思わんか。そんな廃頽的な生活ばかりしていていいッてことはあるまい。すこし反省したらどうだ」
笑子は拗ねたように横坐りになり、二の腕まで露き出して手で髪のウエーブにさわりながら、
「反省してますわ」
「実にどうも怪しからんじゃないか。法律で賭博を禁じていることは君たちだって知らんわけはなかろう。国家の規律をそんなふうに馬鹿にしてもいいのかね」
笑子はクスクス笑い出して、
「恐れ入りました」
「ふふ、ちッとも恐れ入ったように見えないじゃないか」
というと、突然、拳で激しく机を叩き、
「てめえら、そんな了見だから、しめえにァ人殺しの片棒を担ぐようなことになるンだ。おとなしくしていれァいい気になりやがッて。あンまり舐めた真似をするな」
あのモッサリの真名古が、どうすればこうまで変れるものか。すッかり啖呵になって、声音も抑揚もちょうど昔の陰惨な岡ッ引の調子。