Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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まと

魔都

久生 十蘭

Lesen Sie 魔都 (まと) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 293.999 Zeichen · 578 Bildschirme

Aozora Bunko

寅造は腕を組み、悵然たる面持で眼を閉じていたが、また不意に眼を開き、

「よく判った。そういう訳柄があったのなら、俺も無下に王様をかえせとはいわねえ。だが、安亀。ものの道理だけはいってきかせてやる。いまお上の心配というのは外でもねえ、この騒ぎがもとになって、フランスという国と気まずいことにでもなれば、実に取りかえしがつかねえことになる。場合によってはそのために日本の国が抜き差しのならねえ羽目に落ちねえとも限らねえ。フランスの大使が東京へつくまでに、なんとかして王様をホテルにお帰し申し、うまく後先の経緯さえ伏せれば、政府の面もよごさずに済む。それでこんなに大騒ぎをしていなさるんだ。そのもとはといえば、たった一人のお前の仕業。……なア、安亀。出来にくいところであろうが、ひとつ意地を捨ててはくれめえか」

「親分、ご勘弁なすっておくんなさい。たとえ親分のお言葉でも、そればかりはおきき申すわけには参りません。あたしがこの騒ぎをおこせば、必ず親分が理解をつけにお出でになるものと、かねて覚悟をいたしておりました。そんなことであたしが意地を捨てるくらいなら、初めっから騒ぎなんぞ起しはいたしません。