Japanische Klassiker mit Furigana
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まと
魔都
久生 十蘭
Lesen Sie 魔都 (まと) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 293.999 Zeichen · 578 Bildschirme
「ほんとにどうしたというんだろう。真ッ蒼だわ、あんたの顔。なにか心配事でもあるんじゃない」
花はハッとしたように胸を押え、よろよろと赭熊の方へよろめきかかったが、ようやく踏み止まると必死のような微笑を浮かべ、
「心配、なんてことはないけど……、なんだか気が遠くなりそうで」
赭熊は花を抱えるようにし、
「なら、早くそういやいいじゃないか。知らないもんだからポンポンいって済まなかったね、ごめんよ。……どうだい、歩けるかい。さア、あたいの肩にお掴まんな」
といってる時、公園の入口の方でワアッというただならぬ動揺が起ったと思う間もなく、夥しい人波がドッと池の方へ押返されて来た。赭熊は伸び上ってその方を眺めていたが、あわてて花の腕を執ると、
「花ちゃん花ちゃん、顎紐をかけたお巡査さんがトラックで沢山やって来たよ。さア逃げよう、掴まっちゃ大変だ」
巡査と言う一声をきくと、花は急に逆上したような眼付になって、闇雲に西側の門の方へ駆け出そうとするのを赭熊は引戻し、
「馬鹿々々、そっちへ行っちゃア掴まるじゃないか。さアこっちへおいで」
と花の手をとり、小径伝いに一散に花壇の方へ駆けて行く。