Japanische Klassiker mit Furigana
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にしんぎょじょう
鰊漁場
島木 健作
Lesen Sie 鰊漁場 (にしんぎょじょう) von 島木 健作 (しまきけんさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.483 Zeichen · 49 Bildschirme
不安そうな顔つきをし、彼は二人に連れ立ってどっかへ出て行った。
それから一時間ばかりして帰ってきた木村音吉の顔は真青だった。手には一枚の紙きれを持っていた。
「どうしたんだ?」
みんなは口々にいいながら木村の周囲をとりまいた。彼はだまってその紙きれをみんなに見せた。――在郷軍人、木村音吉にたいする召集令だった。人々はだまって顔を見合せた。
木村が青くなった直接の原因を、人々はしかし彼の口からそれと説明されるまでは知ることができなかった。――雇傭契約書の第十条にはちゃんと書いてあった。「被雇本人、軍籍ニアリ、万一不時ノ召集ヲ受ケ、労務ニ服スルコト能ハザルトキハ、前借金ニ利子ヲ附シ即時本人又ハ保証人ヨリ弁償スベシ。漁場到着後ナルトキハ、日割ヲ以テ精算ノコト。」木村はたった今帳場からこの第十条をくどいほど説明されて来たのである。帰ったらすぐ保証人と相談してなんとかするからと、アテのない一時のがれを言って木村は冷汗をかいた。側にいて二人の問答をきいていた町の駐在所はなんにしても名誉なこった、名誉なこった、とくりかえしていた。その話を聞くと漁夫たちは「死にに行く奴に金を返せって法があるかい、香奠をよこせ、香奠を……」