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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

「何だえ、今ごろに」

錫の酒瓶を机にのせて、寝酒を舐めていた会所守の久六は、入ってきたのをジロリと眺めて、

「旅の人だね」

「へい、実は淀の仕舞船で、木村堤へ着いたは四刻頃でしたが、忘れ物をしたために、問屋で思わぬ暇を潰しましたんで」

「ははあ、そこで何かい、どこの旅籠でも泊めてくれないという苦情だろう」

「自身番の証札を見せろとか、四刻客はお断りですとか、今日、大阪入りの初ッぱなから、木戸を突かれ通しじゃございませんか」

「当り前だ、町掟も心得なしに」

「叱言を伺いに来た訳じゃござんせん。恐れいりますが、その宿札と、事のついでに、お心当りの旅籠を一つ……」

「いいとも、宿をさしても上げるが……」と久六、少し役目の形になって、二人の風態を見直した。

「一応聞きますが、お住居は?」

「江戸浅草の今戸で、こちらは親分の唐草銀五郎、わっしは待乳の多市という乾分で」

「ああ、博奕打ちだな」

「どう致しまして、立派な渡世看板があります。大名屋敷で使う唐草瓦の窯元で、自然、部屋の者も多いところから、半分はまアそのほうにゃ違いありませんが」

「何をいってるんだ」側から、銀五郎が押し退けて、多市に代った。