Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

「あたいたち、その姉ちゃんに逢いたくてしようがない。おじさん、いたら、教えておくんなね」

「ウン、そうだろう、そうだろう」

「毎日、お獅子に出ていても、そればっかり見てるんだけれど」

「じゃ、うすうすおぼえているとみえる。そしてその姉さんは、幾つぐらいでどんな女よ」

「ちゃんがいったよ。まだ若いし、いい女だから、あいつがおれば、千両に売れるッて」

「いい女で、若くって、ふーん……そして名前は?」

「お綱ッていうの」

「え、お綱ッ?」

「おじさん! 知ってるね」

「ま、まってくんねえ」

「おじさん――」

飯つぶだらけな手のままで、両方から、万吉の袖へたかって来る。

「知ってるなら、教えてくんな、よウ小父さん」

「ま、まちねえッてことよ。今おじさんが考えている所だわなあ。……フーム、すると何だね、お前たちの姉というのは、見返り柳の下にいた、お綱ッていういい女かい?」

「アア」

ジィと、二人の顔を見つめていた万吉が、思わず、手の箸をポロリと落して、

「ム……似てらあ!」

お獅子の姉と弟の手を、強く握った時である。

ジャーン!

すぐ、程近いすじかい見附の夜を見守るお火の見の上から、不意に、耳おどろかす半鐘の音。