Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme
一節切
策謀によき荷抜屋の巣は、天満浪人が入れ代って、常木鴻山を中心に、その日は密かな諜し合せに暮れて行った。
一節切
近江訛りの蚊帳売りや、懶い稽古三味の音が絶えて、ここやかしこ、玉の諸肌を押し脱ぐ女が、牡丹刷毛から涼風を薫らせると、柳隠れにいろは茶屋四十八軒、立慶河岸の水に影を映していっせいに臙脂色の灯が入る。
舟では音締の撥の冴え、どこかを流す虚無僧の尺八の呂律も野暮ではない。
「どうしたのだろう由造は? 今日で四日目、まだ帰ってきやしない……」
お米はひとりでじれッたそう。
浜納屋づくりのいろは茶屋が、軒並の水引暖簾に、白粉の香を競わせている中に、ここの川長だけは、奥行のある川魚料理の門構え。
櫺子の下へ涼み台を持ち出して川長の一人娘、お米の待つのは誰であろうか。恋とすれば、よすぎる縹緻が心にくくもある。
「もう便りがありそうなものだけれど……」
軽く舌打ちしていると、通りすがりの者が振りかえった。
「おや、お米さん、宵の内から待ち人ですかえ?」
「ええ、待って待って待ち抜いているのですよ」
「オオ辛気、お暑いのにご馳走様」
鬢盥に、濡れ手拭を持ち添えたいろは茶屋のお品は、思いきりの抜き衣紋にも、まだ触りそうな髱を気にして、お米の側へ腰をかける。