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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

「いかさま、あなたの尺八を聞きながら、よく寝込んだようでございます」答えたほうは銀五郎であった。

細かい竹の葉がくれに、時雨堂の中がすッかり覗けた。奥には蚊帳が釣ってある。白衣の法月弦之丞は唐草と向かいあって、縁の端居に蚊やりの榧をいぶしていた。

「もう何刻であろうかの」と弦之丞。

「そろそろ四刻すぎでもございましょうか」と、軒廂から明星を仰ぎながら銀五郎。「あの山の上の一ツ灯は、関明神のお明りでございましょうな。ああどこを見てもただまっ暗、何だかわしのようながさつ者も、しみじみと旅の淋しさがこたえてきます」

「して、そちが江戸を出たのはいつごろであった?」

「梅雨へ入るとすぐでしたから、もうかれこれ一月前。それがてんから食い違って、阿波の関を越えるどころか、多市は倒れるし路銀は掏られるような始末。どうやら悪日に立ってきたかもしれませぬ」

「そして、この後の策はどうするつもりじゃ」

「さ、弦之丞様、実はそのことでございますがね……」真剣になって銀五郎、そこでしんみり声を沈めた。

外ではお米、その人恋しさに、矢も楯もなく大阪から飛んできながら、弦之丞の影をちらと覗くと共に、迷いと羞恥につつまれて、はしたなく声もかけられずにいるうちに、二人が密話になりだしたので、なおさらそこを驚かす勇気がくじけ、ドット鳴る血の音を感じ