Japanische Klassiker mit Furigana
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めいせつじじょでん
鳴雪自叙伝
内藤 鳴雪
Lesen Sie 鳴雪自叙伝 (めいせつじじょでん) von 内藤 鳴雪 (ないとうめいせつ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.693 Zeichen · 377 Bildschirme
奈良では猿沢池の傍に止宿して、翌日、春日の社や大仏その他を見物した。猿沢の池畔の、采女の社が池の方を向いて背面に鳥居の建っているのもちょっと珍らしかった。鹿はうるさいほどそこらを歩いていた、若草山は折からの若草で青々としていたけれども登らずに終った。奈良を立って路順なら直に大阪へ行くのであるが、ついでに京都も見たいという者があるので、伏見から道を転じて京都へ入って、三条橋畔の宿屋へ投じた。その翌日は祇園、清水、智恩院大仏、東福寺等を見物した。その頃の高倉の藩邸には留守居を改めて邸監といって、佐治斎宮氏というが住んでいたので、そこへも往って面会したが、我々は東京で文明の新空気を吸っているという誇りから、大気焔を吐いたので、先輩ではあれど彼れは驚いて沈黙していた。それから大阪へ下って、ここの邸監は皆川武太夫氏がいたが、ここでも気焔を吐いた末、一行には最う旅費が尽きていたので、各々旅費の借用を申込んだので、皆川氏は少し渋面作ったが終にいくばくかを流用してくれた。大阪の見物はそこそこに済まして、いよいよ藩船の便で海路は別段の事もなく松山へ帰着した。それからというものは、誰れに向っても例の文明談の気焔を吐き散らした。