Japanische Klassiker mit Furigana
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おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme
お母様が千住からお持ちになったものはあるのですけれど、有合せの材料で何か作って、暮れぬ中にと急ぎます。乗物は人力車しかないのですから。
出際にまたしても地響をさせて通る汽車に驚いて、「よくお兄様は我慢なさるのね」といいますと、次兄は、「嫌だろうけど、外になかったから」と、割合に平気です。縁側から見ますと、向いの右手に御隠殿の急な坂の片端が見えるのでした。汽車は目の前を通り過ぎます。
御婚礼の日には、私は風を引いて出ませんかった。新婚のお二人は、家へ尋ねて下さいました。袿姿の立派なお写真を見て、式に伺われなかったのを残念がりました。
その後風が癒ってお尋ねした時は、新しいお荷物が並んで、床の間には袋をかけたお琴や三味線もあり、老女と女中とがいて賑やかでしたが、お兄様も次兄もまだお帰りでなく、どこにも馴染の顔は見えません。お姉え様は優しく待遇して下さるけれど、何だか落ちつきませんかった。
そこへお客です。「榎本の叔母です」と仰しゃいます。老女に髪を結ってもらいに来たとのお話でした。品のよい太り気味のお方でした。
「買物もありますから」と、その日は急いでお暇しましたが、お兄様は間もなくその家をやめて、上野の山下にある赤松家の別邸へ移られました。