Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わし

鷲

岡本 綺堂

Lesen Sie 鷲 (わし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.476 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

どうぞ旦那さまに手柄をさせたいとか、尾白の鷲を旦那さまに撃たせたいとか、かれらは毎日言い暮らしているかも知れない。現に先月もそれがために、お蝶は母と共に川崎大師へ参詣したくらいである。その時のおみくじに凶が出たとかいうことも、お蝶に何かの刺戟をあたえたかも知れない。

こう考えると、別に不思議はない。お蝶がたとい何事を口走ろうとも、しょせんは周囲の影響をうけた結果に過ぎないのである。自分は臆病者でないと信じていながら、一時はなんとなく薄気味悪いようにも感じさせられたのは、われながら余りにも愚かであったと、又次郎は声をあげて笑いたくなった。

「それにしても、お蝶は可哀そうだ。」

世に乱心者ほど不幸な人間はあるまい。ましてそれが自分の屋敷の奉公人――今では単なる奉公人ではない関係になっている――お島の妹である。それを思うと、又次郎はふたたび暗い心持になった。彼はむやみに笑ってはいられなくなった。お蝶が乱心していることを、その両親の角蔵やお豊が知っているのであろうか。知っているならば、迂濶にひとり歩きをさせる筈もあるまい。あるいは両親がわたし達の宿へ挨拶にきた留守のあいだに抜け出したのか。