Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

まど

鷹野つぎ――人と文学

鷹野 つぎ

Lesen Sie 鷹野つぎ――人と文学 (まど) von 鷹野 つぎ (たかのつぎ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.840 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

もう日暮れに迫り、まだ電気はつかなかったが、かわたれ闇のもの悲しいひと時であった。とよ子は繃帯の手首を布団の上に投げ出し、憔れた瞼をうとうとと閉じていた。そこへ果物包みらしいものを携げて近づいて行った次兄は、ただならぬ妹の寝がおを見るや、どういうものかまた果物包みを前方に差し出すように吊して、何ものにも触れぬよう通り路の中間をよろけるように歩いて、外へ走り出て行った。

再び引き返して来た次兄の手にはもう何もなかった。

「とよ子」彼れは高い声で妹の眠りを呼びさました。

眼を開いたとよ子は次兄を見ると、うれしそうな笑顔を見せた。けれどその笑がおもすぐと病苦のなかへ消え失せて、ただ無言の眼もとだけが次兄を迎えていた。

「お前はまあ」と次兄はつくづく妹を見ながら、大きな声で云いはじめた。「そんなになっては、もういろいろ食べられもしないだろう。あれほど気をつけよ、つけよと云いきかしていたのに、山歩きなんかしてさ。あんな仕立物なんてものでも、次兄さんは止せ止せと云ってとめていたろう。無茶な真似ばかりして、またこんなになって了って、それでは情けないではないか」

こう一気に云うのを、矢張りとよ子は無言できいている様子だった。