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Japanische Klassiker mit Furigana

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さとう

麻布襍記 ――附・自選荷風百句

永井 荷風

Lesen Sie 麻布襍記 ――附・自選荷風百句 (さとう) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.256 Zeichen · 77 Bildschirme

Aozora Bunko

医に問うに病中漫に書に親しむ時は往々此の事あり速に老眼鏡を用うべし。然らざれば却って眼力を損じ神経衰弱症を起すべしと。即ち銀座の老舗松島屋に赴き老眼鏡を購い帰り来って試みに机上の一書を開くに、文字甚鮮明なり。頗爽快を覚ゆると共にいよいよ老来の嘆あり。たまたま思出るは家府君禾原先生の初て老眼鏡を掛けられし頃の事なり。時に一家湘南の別墅豆園にありき。府君松下の榻に倚り頻に眼鏡を拭いつつ詩韻含英を開閉せらる。余府君の眼鏡を用いられたるを見し事なかりしかば傍より其の故を問う。先君笑ってこは老眼鏡なり。古人の句に細字燈前老不便とは云得て妙ならずやと言われき。回顧すれば余の尋常中学を出でし時にして先君は正に初老の齢に達せられし時なり。余本年四十有二。先君と齢を同じうして初めて老眼鏡を用う亦奇ならずや。然れども其の看るものは雅俗もとより同じからず平生の行に至っては一は謹厳一は賤陋殆ど比すべきに非ざるなり。

○

一夜涼風を銀座に追う。人肩を摩す。正に是連袵幃を成し挙袂幕を成し渾汗雨を成すの壮観なり。良家の児女盛装してカッフェーに出入す。其の紅粉は俳優の舞台に出るが如く其帯は遊女の襠裲の如く其羽織は芸者の長襦袢よりもハデなり。