Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

こうとう

黄灯

田中 貢太郎

Lesen Sie 黄灯 (こうとう) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.262 Zeichen · 21 Bildschirme

Aozora Bunko

岡持を提げた女房の体は、勾配の急な坂をおりて、坂の降り口にあるお寺の石垣に沿うて左へ曲って往った。寺の門口にある赤松の幹に、微暗い門燈の燈が映って見える。長い長い石垣の上に、杉の生垣が続いて、その隙間から石碑が覗いている。電柱がその石垣に沿うて一つ二つ見えて来る。右側の人家は戸が閉って、その戸の隙から微に燈の光が見え、小さな冷たい雨がその燈の光を受けて、微な縞を織っているのが浮んで来る。

街が左にすこし折れまがって、曲り角に電柱が見えて来た。青い蛍火の団ったような一団の鬼火がどこからとなく飛んで来て、それが非常な勢いで電柱に突きあたった。あたったかと思うと、それが微塵に砕けてばらばらと下におちた……。

主翁は怖ろしさに呼吸が詰るように思った。彼は食卓へ縋りつくように凭れたが、四辺が気になるのでやっとの思いで土間の方を見てから、その後で右の方の障子を見た。障子の破れ穴の一つに怪しい者の眼球が光るような気がした。彼は逃げるように行火に掛けてある蒲団を頭から被って、猫か犬かが寝たように円くなって寝た。

主翁の心がやっと静まって来た。彼はもう女房が帰ってくる時分だと思いだした。