Japanische Klassiker mit Furigana
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てらだとらひこ
黄道
和辻 哲郎
Lesen Sie 黄道 (てらだとらひこ) von 和辻 哲郎 (わつじてつろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.971 Zeichen · 59 Bildschirme
あとは子供を病気させぬように注意しなくてはならぬ。そういう落ち着いた気持ちになっていった。
その内北の方に火事の烟が上がった。それを見たとき、なるほど地震には火事が伴うはずだったというふうな、当然のことを見ている気持ちになった。がそのとき自分の考えていた火事なるものは、これまで自分の経験した火事――すなわち数十分あるいは数時間燃えてやがて消される火事であった。近そうに思えたので通りまで見に出てきいて見ると新宿だという。通りの人々も火事が千駄が谷まで来るというような心配はしていない。自分ももちろんやがて消えることと安心していた。(また実際この火事は二時間ぐらいで消えた。だから自分は遅くまで消せない火事を考え得なかったのである)
自分を驚かせたのは火事よりも大島爆発の噂であった。自分はそれを印絆纏の職人ふうの男から聞いた。その男に注意されて見ると、南の方に真っ白な入道雲がひときわ高くムクムクと持ち上がり、それが北東の方へ流れて、もう真東の方までちょうど山脈のように続いている。真蒼な空に対照してこの白く輝く雲の峰はいかにも美しかった。なるほど南の端の大きい入道雲はだいたい大島の方角のように思われる。