Japanische Klassiker mit Furigana
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くろゆり
黒百合
泉 鏡花
Lesen Sie 黒百合 (くろゆり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.148 Zeichen · 154 Bildschirme
」
「どういたしまして、降りませんでも、貴方川留でございますよ。」
方二坪ばかり杉葉の暗い中にむくむくと湧上る、清水に浸したのを突にかけてずッと押すと、心太の糸は白魚のごときその手に搦んだ。皿に装って、はいと来る。島野は口も着けず下に置いて、
「そうして何かい、ついぞまだそこへ行った者を見たことはないのか。」
「いいえ、私が生れましてから始めてでございますが、貴方どうでございましょう、つい少しばかり前にいらっしゃいました、太った乱暴な、書生さんが、何ですか、その姉さんがここへ参りましたことを御存じの様子で、どうだとお聞きなさいますから、それそれ申しますと、うむといったッきり駈出して、その方もまだお帰になりません。」
「え、そりゃ何か、目の丸い、」
「はい、お色の黒い、いがぐり天窓の。もうもう貴方のようじゃあございませんよ、おほほほ。」
「いや!」とばかりでこの紳士、何か早や、にたりとしたが、急に真面目になって、
「ちょッ、しようがないな。」
「貴方御存じの方なんですか。」
「うむ、何だよ、その娘の跡を跟けまわしてな、から厭がられ切ってる癖に、狂犬のような奴だ、来たかい! 弱ったな、どうも、汝一人で。