Japanische Klassiker mit Furigana
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くろゆり
黒百合
泉 鏡花
Lesen Sie 黒百合 (くろゆり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.148 Zeichen · 154 Bildschirme
たちまち五六人血眼になって武者振つくと、仏敵だ、殺せと言って、固めている消防夫どもまで鳶口を振って駈け着けやがった。」
光景の陰惨なのに気を打たれて、姿も悄然として淋しげに、心細く見えた女賊は、滝太郎が勇しい既往の物語にやや色を直して、蒼白い顔の片頬に笑を湛えていたが、思わず声を放って、
「危いねえ!」
「そんなこたあ心得てら。やい、おいらが手にゃあ仏様持ってるぜ、手を懸けられるなら懸けてみろッて、大な声で喚きつけた。」
「うむ、うむ、」とばかりお兼は嬉しそうに頷いて聞くのである。
「おいらが手で持ってさいその位騒ぐ奴等だ、それをお前こっちへ掴んでるからうっかり手出ゃならねえやな。堂の中は人間の黒山が崩れるばかり、潮が湧いたようになってごッた返す中を、仏様を振廻しちゃあ後へ後へと退って、位牌堂へ飛込んで、そこからお前壁の隅ン処を突き破って、墓原へ出て田圃へ逃げたぜ。その替り取れようとも思わねえ大変なものをやッつけた。今でもお前、これを盗まれたとってどの位探してるか知れねえよ。富山の家が五六百焼けたってあんなじゃあるめえと思う位、可い心持じゃあねえか。姉や、それだがね、おらあこんなことを遣ってからはじめてだ、実は恐かった、殺されるだろうと思ったよ。