Japanische Klassiker mit Furigana
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エスみさきせいようふじんこうさつじけん
S岬西洋婦人絞殺事件
夢野 久作
Lesen Sie S岬西洋婦人絞殺事件 (エスみさきせいようふじんこうさつじけん) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.951 Zeichen · 52 Bildschirme
通抜けられる位、慣れ切った道になっているのでしょう。東作老人は、それを忘れているものですから、真の闇夜にこの松原を抜けて、あの岩山に登るのは不可能だと信じ切ってアンナ事を云うのです。
こうした点を、よく注意して考えてみますと東作老人は、その事件当夜に麻酔をかけられていた者ではないかという疑いが可能になって来るようです。脳髄の機能をここで説明すると時間を取りますが、東作は相当の酒飲みなので、十分……十二分の麻酔をかけたつもりでも、半分ぐらいしか掛かっていない事が医学上あり得るのです。半醒半睡の時には、よく東作のようなハッキリした月や太陽を見たり、半自覚的な夢中遊行を起したりする事があるのです。東作自身の翌朝の身神の疲労、倦怠、頭痛、口中や鼻腔の異臭、不快味なぞは皆、こうした推理を裏書きにしている事になりますので、結局するところ、東作の夢中遊行……晦日の闇夜に見たという満月や、銀色の大汐浪なぞいうものが、東作自身の現場不在証明になって来ると同時に、犯人の手口に関する有力な手がかりを証明していると思います。
ですから犯人は多分ロスコー氏の留守を狙っていたものでしょう。