Japanische Klassiker mit Furigana
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あるかんぬしのはなし
ある神主の話
田中 貢太郎
Lesen Sie ある神主の話 (あるかんぬしのはなし) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.116 Zeichen · 10 Bildschirme
小柄な男はひょいと庭へおりて外へ出て往った。勘作は冷笑を浮べながら煙草を喫んでいたが、櫓の音がしだしたので湖に面したほうの障子を開けてみた。朦朧とした月の光の射した水の上に岸を離れたばかりの小舟が浮んで、それが湖心のほうへ動いていた。櫓を押ている小柄の男の姿も見えていた。
「俺に獲れないものが、あんな、小僧ッ子に獲れてたまるか」
勘作は障子を締めて横になって煙草を喫んでいた。そして、小半時も経たないところで跫音がして小柄な男が帰って来た。勘作が舟の中へ置いてあった空笊を小脇にしていた。
「勘作さん、どうだな、注文の鯉を獲って来たが」
勘作は起きあがって笊の中を覗いた。大きな二尺ばかりの鯉が四疋と、他に鮒や鮠などが数多入っていた。勘作は驚いて眼をった。
「注文の鯉を持って往けば、金をくれるだろう、これで一杯買おうじゃないか」
勘作は小柄な男を待たして置いて、その鯉を持って鯉の注文を受けている豪家へ往って二疋を売り、後の二疋を宿の旅籠へ売ってその金で酒を買って帰った。
「お前さんの名はなんと云うんだ」
勘作が酒を注ぎながら云うと小柄な男は笑った。
「名はなんでも好いじゃないか、これから朋友になったから、ちょいちょい飲みに来るよ」