Japanische Klassiker mit Furigana
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あるかんぬしのはなし
ある神主の話
田中 貢太郎
Lesen Sie ある神主の話 (あるかんぬしのはなし) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.116 Zeichen · 10 Bildschirme
「好いとも、飲もう」
小柄な男は明方まで飲んで帰った。勘作はその男の素性が不思議でたまらなかった。翌日になって仲間の漁師達に聞いても何人も知っている者がなかった。
小柄な男はその夜をはじめとして折おりやって来た。そして勘作が漁がなくて困っていると、彼は勘作の網を持ってちょっとの間どこかへ漁に往ったが、何時でも数多の魚を獲って来た。
勘作と小柄な男との間は三年ばかり続いた。勘作はもう小柄な男の素性を怪しいとも思わなければ、素性のことを考えもしなかった。某夜、平生のようにその小柄な男がやって来て二人で酒を飲みだした。
「勘作さん、お前さんは、私をなんと思っているかな」
小柄な男が云うと勘作はすまして云った。
「なんとも思っていないよ、俺はお前さんが、鬼でも蛇でもかまわないよ」
「私は人間じゃない」
「どうせ、そんなことだろうと思った、なんだな」
「水におる者だ」
「河童か」
「河童じゃないが、まあ、そんな者さ」
「それも好かろう」
「ところで、私は不自由だから、ひとつ人間になりたいと思っている」
「どうして人間になる」
「人間の体を借りるつもりだ」
「何時借りる」
「明日、午の比、この傍の路を旅人が通るから、その笠を飛ばして、それを執りに水に入って来るところを引込んで、その体を借りるつもりだ」