Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

Lesen Sie いやな感じ (いやなかんじ) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 292.113 Zeichen · 587 Bildschirme

Aozora Bunko

「どうもしないさ」

俺はエンタの「朝日」の口を噛みながら、

「俺はちょっと旅に出る。しばらく会えない」

と言ったが、これで永久に会えないかもしれない。

「旅って、どこへ行くんです」

「遠くへ行くんだ」

思いつめた感じがおのずと顔に出ていたのか、

「遠くって?」

と女は不安そうに言って、

「兄さんに、あたし、相談があるんだけど、あとで……」

アブラゲ(蒲団)が敷いてある横で、女は長じゅばん姿になろうとする。

「まだいいよ。話をしようや、相談ってなんだい」

ここの勤めは相当もうながいはずの女は、着物姿を見ている分にはいかにも吉原のおいらんだが、床の中で抱くと、ついこの間まで田圃で働いていたような固くしまった肉づきをしていて、その野生的な感じが俺の気に入ったのだ。照子とはよほどちがう。似ているところは受け口ぐらいで、

「横になりながら、話しましょう」

字に書けば東京弁だが、どこかの田舎訛りがまだ抜けない。するりとさきに蒲団のなかに入って、

「あたしは年季があけたら、兄さんと世帯を持ちたいと思ってたのよ」

「へっ? もてるねえ」

「ほんとよ。兄さんさえ、その気になってくれたら……でも、兄さんはおいらんを女房にする気なんかないわね」