Japanische Klassiker mit Furigana
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
Lesen Sie いやな感じ (いやなかんじ) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 292.113 Zeichen · 587 Bildschirme
なものだった。ここでただひとつ、はっきり今でも思い出せるのは、次のことである。俺はほんとのところ、民衆が俺の死をいたんでくれるのより、照子ひとりが俺のために泣いてくれることを望んだのだ。
泣いてくれるかどうか分らない。だから、泣いてくれることを望んだ。そうだ、それは照子というより、俺のために泣いてくれる女ということだった。俺には、俺のために泣いてくれる女がいない。――
手早く話そうと言いながら、ぐずついている。下関に着いて、そこから関釜連絡船に乗って、玄海灘を渡るのだが、そのときのことをちょっと……。
夏の陽がギラギラと照りつける炎天下――船に乗ろうと列をなした乗客の左右に、眼を光らせた刑事たちが立ち並んでいて、いわゆる挙動不審の者や、うさん臭いのに、
「おい、ちょっと来い」
とやっている。横柄に手で招いて、列から離れさせる。おいとやられた本人が、まさか自分のことではないだろう、うしろの奴かなと脇見をしたりすると、
「お前だ!」
と刑事にどなりつけられ、へっと首を縮めて、両手に重い荷物をさげながら、おたおたと出ていくのもあった。
このことはあらかじめ聞いてはいたが、聞きしにまさる厳重さだった。