Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いやなかんじ

いやな感じ

高見 順

Lesen Sie いやな感じ (いやなかんじ) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 292.113 Zeichen · 587 Bildschirme

Aozora Bunko

「品よく」(とは砂馬の言葉だが)家におさまっていて、

「ちょいと、ちょいと」

女の顔だけが見える小窓から、通りすがりの男たちに呼びかける。

「ちょいと、兄さん」

「ちょっと、ちょっと、眼鏡の旦那」

両側から誘いの声がかかる。ちょんの間なら、一円五十銭でも自分を売ろうという呼びかけである。

「ちょいと、洋さん」

洋服さんという意味である。ちょっと、その洋服を着た旦那――という呼びかけである。きょう日とちがって、和服の着流しがまだまだ多かったころである。

「ちょっと寄っといでよ」

「ほらほら、ちょっと、ここをのぞいてごらんよ」

日の暮れるのが早い季節で、暮れてから大分になるが、時間としてまだ宵の口だ。だのに、細い路地には早くも人がひしめいていた。

路地を行く男は、こうした両側の小窓から、女たちの眼と声の一斉射撃を浴びるので、これでなかなか度胸がいる。路地の真中を、ほかの用で歩いているかのような足どりで行くのは、こういう場所にまだなれない男である。ときどき、ちらっと横目で小窓のなかをのぞく。声をかけられると、大ゲサに飛びのいたりする。なれた男は、雨降りの軒伝いみたいにして、いちいち小窓をのぞいて行く。