Japanische Klassiker mit Furigana
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いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
Lesen Sie いやな感じ (いやなかんじ) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 292.113 Zeichen · 587 Bildschirme
波子は眼をギラギラ光らせて、
「だから、昼間、何かあたしに頼むことないかって聞いたでしょう」
俺の膝に手をやって、ゆすぶるようにして、
「頼まれたらそのとき、ちゃんと前もってあたしが預かってあげたのに……。預かってあげようと思って聞いたのに、お客さんたら、何も頼むことないと言うから、あたしはそのまま放っておこうと思ったの。でも、憲兵が来たとき……」
「なに、憲兵が来たのか」
俺は波子と膝をくっつけあっていた。
「そうよ。こういう男がいるだろう、部屋はどこかって。お帳場でそう言ってるの。そのとき、あたし、何も頼まれもしないのに、よけいなことをするみたいだったけど、あれを持ってかれたら大変だろうと思って、憲兵が部屋に行かない前に、さっとここへ駈けあがって、見つからないうちにあれを持ち出しといたの」
「そうか。そいつは、すまなかったな」
俺はこくんとお辞儀をして、
「ありがとう」
と礼を言った。そしてピストルを返してくれと手を出すと、
「また、来るわよ。来たことを黙ってろと、みんな、家の人たち口どめされたの。早く東京へ帰ったほうがいいわ」
すぐにも発てるように、波子は俺にかわって、身回り品をトランクに片づけたと言う。