Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
Lesen Sie いやな感じ (いやなかんじ) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 292.113 Zeichen · 587 Bildschirme
急には足がとまらぬほど息せき切って駈けてきたわけではない。その波子の顔は、いそいそとは反対の、むっとした表情だった。同時に俺の眼は、あの朋輩の女が裏口から顔を出して、詮索的な眼を俺たちに放っているのを見た。無関心を急に変らせるものが、波子の素振りにあったにちがいない。
「どうしたい」
どうとも解釈できる言葉を俺は、路地を出ると波子に言った。
「当分はまだ下働き……」
朗らかな声で波子はすぐ言った。まっさきにせねばならぬ報告事項のようにそう言うと、
「一生懸命働いて、着物作んなくちゃ……」
これは自分に言ってきかせるつぶやきだった。着物がないと、店に出られないのか。
「よし、お礼に着物を買ってやろうか」
「何のお礼?」
食ってかかる声だった。
「暑いから、氷でも飲もうか」
「歩きましょうよ」
氷屋には人がいるから話ができない。そう言う波子は、問屋の男たちが道ばたで梱包をしている表通りを避けて、人目につかない横丁に俺を導いた。炎天から日かげにはいれたのも助かった。
先に立った波子のぼんのくぼを見ながら俺は、荒地に生えた夏草の茎を思い浮べていた。逞しく、いじらしい雑草。